特集「ヨモヤマビルド」

ふくめん算を解いてみよう

こんにちは。ビルドシステムの平田です。
今回は皆さんに、パズルの世界に浸っていただこうと思います。

 

皆さんは「ふくめん算」というものをご存知ですか?
「虫くい算」と並んでその起源は1世紀以上も遡る、昔からある数学パズルです。

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上の問題を見たことがある方がいらっしゃるかもしれません。100年近く前に発表された、おそらく世界一有名なふくめん算です。
この記事ではふくめん算を解く過程を解説して、皆さんにその魅力を知っていただきたいと思っています。

 

まず、「ふくめん算」のルールをご説明します。

 

  1. 1文字に1つの数字を対応させて数式を成立させる
  2. 同じ文字には同じ数字が入り、違う文字には違う数字が入る
  3. 最上位の文字が0になることはない

 

3.の「最上位」とは、行のいちばん左にある文字のことを指してます。先のSEND~の例だと《S》、《M》の文字は0にならないことになります。

 

それでは上のルールをふまえて、次の問題をご覧ください。

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過程を解説するにあたり、上のような問題を用意してみました。6月となり、梅雨にも入ってどんどん蒸し暑くなるこの時期を表してみました。
皆さんもこの時期の体調管理にはご注意ください。
ちなみに《6がつ》の《6》はそのまま数字の6として考えてよいです。

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ではさっそく解いていきましょう。まず注目するのは万の位です。
なにも加算していないのに答えが《む》となってますね。でも《む》は最上位ですから0ではないはずです。
これを解決する唯一の方法は、千の位で繰り上がりがあるということです。
そしてその繰り上がりも、2以上はありえないことがおわかりでしょうか。
2個の数字を加算したのでは、たとえ9+9でも2が繰り上がる(20以上となる)ことはないですよね。
よって《む》=1であることがわかりました。《む》の文字を1に置き換えましょう。
ついでに、繰り上がる(答えが10以上となる)千の位についてもメモしておきましょうか。

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続けましょう。さっき千の位で繰り上がるとわかりましたが、その千の位は《ま=し》という実に不思議な式になってます。
違う文字には違う数字が入るはずなのに……?これを解決するには、またまた繰り上がりを考えれば良いわけですね。
百の位で1繰り上がっているとすれば、《ま+=し》という成立がしそうな式になります。

(下線の数字は繰り上がりを表します)
そしてこの式はメモの通り10以上となる必要があります。これを満たすためには、《9+=10》とするしかありませんよね。
よって、《ま》=9、《し》=0と一気に2文字も決まりました。《ま》は2箇所あるので、両方埋めましょう。

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さあここからが山場です。百の位に注目しましょう。メモの通り百の位の式《6+す》は10以上のため《す》は4以上のはずです。
しかし、ちらっとだけ十の位を見てみましょう。
《が+9》が繰り上がらない可能性はあるでしょうか?0や1はすでに使われているため、《が》は2以上です。
ということは《が+9》は確実に10以上となり、百の位へ繰り上がりが発生するとわかります。
つまり《6+す+》が10以上になれば良いので、《す》=3の可能性も捨てられません。

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しかしここでまた、0と1はすでに使われていることを思い出しましょう。
仮に《す》=3としたら《あ》=0となってしまうし、《す》=4としてみても《あ》=1となり、既に《し》や《む》で使用している0,1とぶつかってしまいます。
この考え方から、《す》=3,4はありえないことがわかり、5~9のどれかになるはずです。
ついでにもうひと押しすると9も《ま》で使われているので、《す》は5~8の間ですね。

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もうちょっと頑張りましょう。一の位に目を移します。
もし《つ+す》が繰り上がったとします。
すると十の位は《が+9+=つ》が成り立つわけですが、9+1=10ですから筆算上は《が=つ》となるはずです。
しかしここでまた違う文字には違う数字が入ることを思い出せば、それがダメなことは明白です。
つまり一の位の《つ+す》は繰り上がりません。

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ということは?
《す》=8としてみます。《つ》は0,1が使われているため最低でも2以上ですが、これではどうしても繰り上がってしまいます。
じゃあ《す》=7なら《つ》=2で繰り上がらないよ!といきたいところですが、そうなると《い》=9となりますよね。
でも9もやっぱり使われているためこれもダメです。

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つまり《す》は5,6のどちらかです。
仮に《す》=6としましょう。《つ》=2とすれば《い》=8となり、使ってしまった数字と抵触しません。
十の位も見てみて、《が+9=2》を満たすためには《が》=3とすれば良いですね。

よしこれはいけそうだ……!あとは百の位……!
《6+6+=あ》だから《あ》=3だ……!

あれ?《が》と《あ》が両方3?違う文字なのに同じ数字……あぁ、いけると思ったのに……
というわけで、《す》=6はあと一歩のところで否定されてしまいました。
しかし、これは同時に《す》=5がわかったわけでもあります!

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あとはもう一本道です!
百の位は《6+5+》であり、その下1桁から《あ》=2がわかります。
一の位の《つ+5=い》を繰り上げることなくまだ使える数字(3,4,6,7,8)によって成り立たせるには、《つ》=3、《い》=8とした《3+5=8》しかありません。
十の位の《が+9=3》を筆算上で成立させるには《が》=4ですね。
ということで……

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ついにすべての文字を数字に変換して、ふくめん算を解くことができました!

長々とお疲れ様でした。

 

いかがだったでしょうか。この記事をきっかけに、皆さんがふくめん算に興味を持ったり親近感を抱いてくれたら幸いです。
もちろん他にもおもしろいパズルはたくさんありますので、ぜひ長雨の合間にパズルを楽しんでみてくださいね!